いつか、きっと。
今日一日ハウステンボスを満喫して、ものすごく楽しかった。

最後のアトラクションは"光の観覧車"

地上から見るイルミネーションも見応えがあって感動したけど、上から見下ろすのもきっと綺麗なはず。

今日の締めくくりなんだから、友也と見るハウステンボスの夜景をしっかりと目に焼き付けよう。

「観覧車は夜にして正解やったね。昼間にドムトールンからみた景色も良かったけど、こうして見る"光の王国"も格別ばい!めっちゃ綺麗でもう『すごか』って言葉しか出てこん!!ね、友也?」

興奮してひとりではしゃぎ、ゴンドラの外に向けてた顔を戻すと、向かいに座っている友也とバッチリ目が合った。

あれ?友也も外の景色を見てるものだとばかり思ってたのに。

「明日美がはしゃぎまくって楽しんどるとば見られて俺も嬉しかった。今日は楽しかったな、明日美。またいつか来ような、ココに。そん時は俺たち……」

『俺たち……』なに?

続きの言葉を黙って待ってみたけど、友也は視線を逸らしてしまった。



だいぶ高度が上がってきて、街の灯りが小さく見える。

もうそろそろ、てっぺんかな……。

一番高いところってさ、あれなんじゃない?

カップルで観覧車といえば……。

私と友也は向かい合わせに座っている。

だって二人だからそうしないとバランス悪そうだし……。

自然とそうなってしまった感じなんだけど、二人の間の空間がなんとも微妙だ。

「ね、友也……」

『隣に座ってもいい?』って言おうとして友也を見ると、友也は私の方を向いてはいるけど視線を合わせることが出来なかった。

「人に見らるっとに、ようやるよな……」

友也は私の問いかけには気付かない様子で、ボソッと独り言を呟いている。

友也が何を見ているのかが気になって、視線の先を目で追ってみた。

私たちの一つ前のゴンドラには、私たちみたいな男女のカップルが乗っているようだ。

今の時間、カップルで乗るのがお決まりみたいになってるのかも。

友也が見ていたのはそのカップルの……キスだった。

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