いつか、きっと。
うわぁ……。

やっぱりそうだよね?

一番高いとこでキスするもんだよね。

だけど、こんな風に誰かから見られてしまうのはちょっと恥ずかしいかも。

な、なんか気まずいな。

どうしよう、友也の方を見ることができない……。

「そういえば、来月出張らしかな。泊まり掛けって本当?」

「えっ、そうけどなんで友也が知っとると?」

やっと友也と目を合わせることができた。

友也のお陰でいつも通りの私たちの空間を取り戻した気がする。

「うんまあ、風の噂で聞いたっさ。もしかして同期のアイツと一緒とか……」

それって瀬名くんのことだよね。

「ううん違うけど。今回は私一人で行かんばと」

「そうか、男と一緒じゃなかとなら良かった。で、来月のいつ?」

友也の誕生日は十五日。

その日に当たらないことを願うけど、望みは薄い。

「今のところの予定では中旬。だけん友也の誕生日と被るかも知れんと。まだ決まりじゃなかけどね……」

毎年私の誕生日と友也の誕生日は曜日が同じ。

今年は月曜日だけど、今日は祝日だからお休みでこうして友也と一緒に過ごすことができている。

来月の十五日は普通の月曜日で平日だから、出張に当たらなかったとしてもお互い仕事と学校で一日一緒にいられる訳じゃない。

どっちみち満足にお祝いできないみたいで心苦しい。

「しょんなかさ。俺の誕生日なら当日じゃなくても、週末にゆっくり一緒に過ごせるとやったらそいでよか。そん代わり俺の願いば叶えてくれたら嬉しかとけどな」

「私にできる事やったらよかよ?友也の願いって……なん?」

二十歳の誕生日。

私たちってもう立派な大人だよね。

私だって、覚悟くらいできてるよ……友也。

「もし無理やったら『無理』って断ってくれてもよかとけど。でもできたら……」

な、なに?

私断ったりしないつもりだけど。

でも改まってそんな風にお願いされるのって、ものすごく重大なことを頼まれるような気がしてきた。

「あっあのさ!!」

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