いつか、きっと。
「明日美の…………手料理……」

へっ?私の……手料理?

「食べたか……。俺のために作ってくれんか?」

あ、そ、そうなんだ……。

なんかドキドキしちゃって損した気がする……。

「友也が食べたいって言うのなら、頑張ってたくさん作るよ!だったら食材の買い出しに一緒に行こうよ。私が作れるレパートリーってまだそがん大した事なかとけど……よか?」

「明日美が作ってくれるとならなんでも!でもなんば作れるか分からんけん、作りきる料理のリストば今度書いてくれんね。そん中から俺が作ってほしかとば選ぶけん。買い出しに行くともよかな!」

友也の誕生日の予定についてアレコレ話しているうちに、あっという間に地上に下りてきてしまった。

ゴンドラから降りる時に手を差し出してくれた友也。

その手に私の手を重ね、エスコートされるみたいでちょっと照れてしまったけど……。

繋いだ手を離したくなかったのは、私だけじゃなかったんだよね?

どちらからともなく指をしっかり絡ませ合っていた友也と私。



観覧車で、キスしてくれるんじゃないかって期待してた。

だって二人で夜の観覧車に乗ってハウステンボスのイルミネーションを見ることができるなんて、こんなにロマンチックなシチュエーションなんてそうそうないのに。

もしも他のカップルのキスを目撃しなかったら、私にキスしてくれた?

もしかしたら最初からするつもりなかったとか。

だとしたらそれは他人にキスしてるところを見られるのが嫌だから?

それとも……。

私が本当の彼女ではないから?

今日一日友也とずっと一緒で、楽しくて嬉しくて幸せだったのに。

どうして最後にこんなに虚しい気持ちになってしまうんだろう。

シーサイドライナーで長崎駅に着いたのは日付が変わる直前だった。

駅からタクシーでアパートまで帰る。

「遅うなってしもうたな。明日仕事やろ、大丈夫か?」

「うん平気。友也、最高の誕生日にしてくれてありがとう!来月の友也の誕生日、期待しとってね」

繋いだ手を離してしまえば、そこでお別れ。

その前に……。

チュッ。

不意打ちのキスは私からのお礼の印。

「おやすみっ!友也」


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