いつか、きっと。
「明日美……俺は……」

耳元で囁く声にゾクゾクと身悶える。

少し掠れた声が艶っぽくて……。

『そそられる』って、こういう感じなんじゃないんだろうか?

『俺は』の続きを聞きたかったのに。

友也の唇はそれ以上の言葉を紡ぐのをやめ、その代わりに私の耳たぶを弄びはじめた。

「あっ……んふぅ……」

なにこれ、くすぐったいけど気持ちいい。

体が敏感に反応し、黙っていられずにくねくねと変な動きをするのを止められない。

初めての刺激にどう対応したらいいのか、まったく分からない。

私の反応に気を良くしたのか、耳たぶを軽く食んだ後、唇で耳の裏から首筋をツーッとなぞっていく。

「あっ……んっ……」

初めて感じる得体の知れない不思議な感覚が私を麻痺させていくようで、もう友也のこと以外何も考えられない。

そんな私を抱き締めていた腕がゆるんだかと思うと、体を起こした友也から両肩をガシッと掴まれ仰向けにベッドに押さえつけられた。

「と、とも……や?」

真っ正面から向かい合う形で友也から見下ろされている。

じっと見つめ合っているようだけど、なぜか視線が交わっている感じがしない。

友也の目は私を見ているようで、私を通り越しているような、そんな気がして……。

「いや…………だ…………」

えっ、なに?

いま友也が何か呟くように声を漏らしたけど、聞き取れなかった。

どこか虚ろな眼差しが私の不安を煽る。

「友也大丈夫?ねぇ、私の声聞こえてる!?友也!友也ってば!」

目の前の友也に必死に呼び掛ける。

私はここにいるよ。

何処にも行ったりしない。

友也のそばにいる。

「友也っ!!」

しばらくの間、宙をさまよっていた友也の視線がやっと私に向いた。

視線が交わるように願いながら友也の目を見つめる。

「…………あ、すみ?」

やっと私を見てくれた友也が、パチパチと何回かまばたきを繰り返し、口を開いた。

「明日美…………気持ち悪ぃ」

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