いつか、きっと。
「ちょ!ちょっと明日美ー。明日美が聞きたがるけん恥ずかしかとば我慢しながら喋ったとに。なんで明日美の方がそんがん顔ば赤うしとっと?ますます恥ずかしゅうなるやろ……」

「だだだだだって。私、のろけ話とは言うたけどさ。まさか、その、ラブラブ真っ最中の話ばしてくるとは思っとらんやったけんが……」

び、びっくりしたぁ。

普通そんな話をこんなカフェとかでしないでしょ!

「嘘やろ……。絶対明日美が私にそういう話ば聞きたかって求めとったとって。はい、次は明日美の番やけんね。こうなったら明日美にもしっかりノロケてもらうばい。ほらほら、御子柴くんとのラブラブ話!」

さっきまで恥ずかしがってモジモジしていた未来が、私を攻撃してきた。

「未来が満足するようなラブラブ話なんてなかよ。期待させてがっかりさすっとは悪かけん言っとく。私たちは未来たちとは……違うと」

「またまたー!そがん事言うて逃げようと思っとるやろ?逃がさんよ明日美」

どうしよう。

私にとってはノロケ話でも、未来にとっては何を言っても物足りないだろう。

「じゃあさ、明日美が自分から言いにっかとなら私からいろいろ聞いてもよか?あの御子柴くんの夜の顔って想像できんけど、どんな感じか興味はあるとさね。……でもさ、明日美と御子柴くんって家が隣同士やろ。どうすっと?やっぱラブホとか行くと?まさか家では無理よね。そいとも家族が留守の時ば狙って……とか」

友也の二十歳の誕生日を思い出した。

あの日の友也はお酒に酔っていたとはいえ、ちょっと様子が変だった。

私はあの日、友也にヴァージンを捧げてもいいと密かに思ったのに……。

「そっ、そんなんじゃなかとって!あの日は……」

「あの日?」

「えっいや、違う。何でもない……」

なんて今更言ったところで、疑わしそうな目で私を見ている未来が納得してくれる訳がない。

こういう話になった以上、話さないわけにいかないのかな?

嘘ついて上手く交わして逃げるなんて、そんなスキル持ち合わせてなんかいないし。

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