いつか、きっと。
「ううん……。そうじゃなかとけど」

田代先輩は相変わらず仕事が忙しいようで、長崎には滅多に帰って来ないらしいから。

「えっ、じゃあなんでダブルデート!?意味の分からんとけど」

そりゃそうだよね。

私だって未来からこの話を聞いた時は意味不明だと思ってしまったんだもの。

無理もない。

「あのね、実はね……」

未来は田代先輩との関係について悩んでいるらしかった。

このまま遠距離恋愛を続けていていいものかどうか。

田代先輩があんまり長崎に帰って来れないのにもなにか理由があるらしいけど……。

『やっぱり長崎で働きよる人の方がこの先のことば考えたらよかとかなって思ったりすっとさね。それで私もテツくんしか知らんっていうともちょっと不安になってきたっていうか……』

「田代先輩と遠距離のままで続いていく自信のなくなってきたって……。だけん長崎におって付き合える人の方がいいとやろかって悩んどるらしかっさ」

「そいけん誰か探そうってしよるとか……。で、なんでダブルデートってことになっとると?」

「それは、さすがに知らん相手と二人きりとか気まずかっていうし。とりあえず何人かで遊びに行くみたいな感じがよかっじゃなかかなってなったと。私も親友として、未来のために協力してやりたかし」

本当は、それだけじゃない。

ダブルデートにしようというのには、まだ他にも理由があるのだ。

「なんか、田代先輩ば裏切るような気のすっけんあんま気乗りせんけど……。明日美に頼まれれば嫌とは言われんけんな」

そうよね、友也と仲の良い先輩の彼女なんだもんね。

こんなことに巻き込んでごめん。

ちょっと後ろめたくなるけど、今更やめるわけにもいかない。

「でもさ、肝心の相手って?青柳さんと誰ば会わせるつもりでおると?」

「それはね、未来からリクエストがあってね。まだ今から交渉するところなんだけど」

すぐにでも声をかけたかったけど、只今福岡に出張中だから。

< 161 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop