いつか、きっと。
何を言っても変な風に取られてしまうようで、言葉を選ぶのに苦労する。

友也が拗ねてるのなんて、なかなか見られないから私にしてみればそんな友也の姿がちょっと嬉しかったりするんだけど。

「ずっと前に私が友也に言うたこと忘れたと?友也は私の中で誰にも負けんくらい、よか男って思うとるって……。瀬名くんとか田代先輩とかばイケメンって思うても、私にはどーでもよかことばい。友也以外の男は眼中になかけん。イケメンかどうかじゃなか。友也しか見とらんってことさ」

私にとって"よか男"っていうのは、顔のことを言ってるんじゃない。私は"御子柴友也"というただ一人の男に惚れている。

ただ、それだけなのに。

友也が珍しく卑屈になってるようだったから、私の素直な気持ちをありのままに伝えようとしたけど……。

はっ!!

なんか今の告白みたいじゃなかった!?

ストレート過ぎたかなって今更おろおろし始めた私だったけど……。

急に手を引かれたと思った次の瞬間には友也の腕の中にいた。

「悪かった……明日美。俺だって同じとに。俺には明日美しかおらんけん他の女には興味なかし。つい嫉妬してしもうて、ごめんな」

良かった……。

分かってくれたみたいだ。

でもね、友也。

これはちょっと恥ずかしいから言えないけど……。

イケメンじゃなくても友也の顔、誰よりもカッコいいって思ってるんだよ。

顔で選んだ訳じゃないけど、もしも顔だけで選ぶとしても、私は間違いなく友也を選ぶよ。

こんなこと言っても取って付けたように思われるかもしれないし、さっきの発言の後だから言わないけど……。

「ううん、私こそなんか無神経やったかな?ごめんね」

しばらく抱き合ったまま、沈黙が続いた。

友也の腕の中って安心する。

私を守ってくれてるようで、いつまでもこうしていられたらって願ってしまう。

だけど、それだけじゃ物足りなくなってしまう私は可笑しいのかな……。

「あのさ明日美。ケンカしたってほどでもなかやろうけど、仲直りすっか」

……仲直り?

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