いつか、きっと。
「んっ…………はぁっ…………」

唇の隙間から、熱い吐息が漏れる。

「明日美も……吸って」

唇が軽く触れあったままの友也からの要求。

すっかり従順になった私は懸命に応えようと、友也の舌に吸い付く。

ふうん……こんな風にされるのも好きなんだ……。

今度は私からも攻めてあげる。

友也の舌に絡みつくだけじゃ足りなくなって、歯列に沿って舌を這わせたり、私がされたように唇を舐めたり優しく食んだり。

「あっ、はぁっ……明日美ぃ……もっと…………」

喜んでる?

友也の感じてる吐息も私を呼ぶ声も、全部私のものにしたくて。

今度は寸分の隙間もないくらいにピッタリと唇と唇を密着させる。

もう、どっちが攻めているのか攻められているのか分からないくらいに……。

"ひとつになった"

そんな気がした。

このままずっと、ひとつになったままで……。

友也もきっとそうだよね、離れたくないよね?

でも終わりは突然やってきた。


ピッタリと密着していた唇と唇が、引き剥がされた。

あまりにも突然のことに呆然としてしまって、何も言葉が出てこない。

「……………………」

まだ余韻が冷めなくて、熱を持ったままの唇と舌が疼いている。

どうして、急に離されてしまったんだろう?

疼いているのは唇や舌だけではなかった。

火照り始めていた体や心までも、ジリジリと焦がれて燻っている。

友也も私と同じようにハァハァと荒い息を吐き出し、呼吸を整えようと肩を上下させている。

「…………ごめん。明日美、俺、まだ……。これ以上は…………」

「…………時期尚早?」

いつかの、友也から言われた言葉を思い出した。

大人になった今でも、まだこれ以上ステップアップできないのには、どんな不都合があるというのか。

「あ、いや、まあ……。これ以上は俺が暴走しそうで。自分ば抑える自信のなかっさ。いまこの場所で……マズかろ?」

ここは、友也の部屋。

あっちの部屋には友也の両親がいる。

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