いつか、きっと。
あ…………。

確かに、このままこの場所でキスよりも先の段階にステップアップするのはマズい。

じゃ、この気持ちはどうなるの?

友也がなんとか歯止めをかけてくれて良かったと思うべき、なんだけど。

……そうなんだろうけど。

この胸の燻りは、そんなに簡単には治まりそうにない。

「そんで、そのダブルデートとやらはいつ開催されると?俺も都合のつけらるっかまだ分からんけど、なるべく予定ばあけるごとするけん」

急に現実に引き戻される。

友也もまだ完全には落ち着いていないみたいだけど、無理矢理気持ちを平常に戻そうと努力しているのかも知れない。

「うん……。未来ともまた相談せんばし、瀬名くんを誘ってみてからの話やけん。友也にも改めて報告するね」

私も友也に合わせるように、ごく普通にしてるつもりで話す。

だけど今日はもうこれ以上、友也の部屋に居るのは無理かも。

「じゃ、私もう帰るね。おやすみ!」

なんとなく気まずくて、友也の顔を見ずにそのまま部屋を出る。

「おばちゃんおじちゃん、お邪魔しましたー」

居間でくつろいでいた友也の両親に挨拶して玄関に向かうと、友也も部屋から出て来ていた。

お互いちょっとぎこちなさが否めない。

「俺もさ、その……明日美の同期の瀬名?ってやつと会ってみたかったけん。予定の決まったらすぐ教えろよな」

「うん、分かった。それじゃ、おやすみ」

最後は言葉少なに別れ、自分の家に帰ってきた。


友也は自分を抑える自信がないと言っていたのを思い出す。

『いまこの場所で……マズかろ?』

それはそうだけど、ただそれだけではないような気がするのはなぜだろう。

友也はわざと私とそういう状態になれないように仕向けていたんじゃないかな?

だから夜にお互いの部屋で一緒に過ごす時には、親がいて……。

本当は、自分ではなく私の気持ちがこれ以上先の関係を望むことを抑えようとしているんじゃないのかな。

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