いつか、きっと。
「そいに……なん?」

「あ、いやまあ何でもなかとけど。もし、その未来ちゃんが俺に惚れたとしても付き合える可能性は低かと思うぞ」

ますます好都合、なんてことは言えないから一応残念なフリしてみる。

「ふうん……。未来、可愛かけん瀬名くんも気に入ってくれるかと思うとけどな……。入社したばかりの時には学生とは時間も都合も合わんって言いよったろ?社会人同士とに」

「まあ会ってみらんば分からんけどな。けど俺、あの話の本決まりになりそうやし」

"あの話"っていうのは、この前の福岡出張でのことだろうか。

「え、決まったと?転勤。それ、私も候補になっとるって耳にしたとけど。瀬名くんが行くことになったと?良かったー」

「おい待て!言っとくけど一応"出向"扱いやけんな!期間も今のところ未定けど、いずれはこっちに戻してくれる約束やし。確かに生田か俺かどっちかになるらしかったって聞いたけど。お前は女やけんなぁ」

なによ。女だから回避できたって言いたいの?

私だって自分の可能性を広げるためだったら出向でも転勤でもしてみたいという気持ちは持ってるけど。

今はまだ友也と離れるのが正直怖い。

今の微妙な偽りの関係のままで離れてしまったら、もう本物の恋人同士にはなれないような気がしてしまうから。

「遠距離になるって分かれば最初から付き合おうって気にならんかなって思うとけど。このこと最初に未来ちゃんに言っとくか……。でも、そいじゃ俺じゃなくてよくね?」

「まぁまぁ、今回はダブルデートとは言うてもみんなで遊びに行こうって感じやし。最初からそがんこと言わんちゃよかよ。みんなで楽しくできればよかって思うとると。友達は多か方がよかもんね!」

「そういうことなら、気軽に楽しむつもりで行くか。ただ一つだけ気がかりのあるっちゃあるとけど……。俺の被害妄想かもしれんし。なんとかなるやろ」

ちょっと引っ掛かる言い方だけど、これ以上突っ込んで参加を拒否されたら困るし。

ここはスルーしよう。

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