いつか、きっと。
えっ、ちょっと未来!?

田代先輩にダブルデートのこと話すつもりでいるの?

言わない方がいいんじゃないかな。

だって今日はみんなで遊びに行くだけなんだから、変に誤解されたら困るんじゃないの……?

「ねえ明日美知っとる?稲佐山のジンクス」

未来が唐突に私に聞いてきた。

「ジンクス……?知らんけど。友也は知っとると?」

「もしかしてアレのことか。稲佐山にカップルで行ったら別れる……って。確か聞いたことある気のするけど」

別れる!?

そんなジンクスがあるなんて

全然知らなかった。

「そっか御子柴くんは知っとったとか。明日美が稲佐山って言い出した時にちょっと気になったとけどね」

「未来……。私それ聞かん方がよかったばい。なんでそがんこと今言うと……」

それなら私が提案したときに言ってくれたら良かったのに。

「明日美、気にすることなかろ?ジンクスなんて信じるかどうかは自分次第やっか。俺たちがそがんジンクスなんて迷信ってこと証明すればよか」

「う、うん……。そうたいね、ははは」

そうよそんな迷信なんて信じなくていい。

それに私たちは偽りの恋人なんだし、別れるもなにも付き合っているフリなんだから。

そんな言い訳じみた安心材料を探し出してる私。

なんとも言えない虚しさが胸の中に広がっていった。



ココウォークに着いて、東宝シネマズへ向かう。

「もう来てるかな?」

時刻は九時四十五分。

待ち合わせまであと十五分あるけど。

「生田ー。良かった俺もさっき来たとこやった」

「瀬名くんおはよう!どっかウロウロしよったら見つからんかも知れんって心配やったと」

「なんてや!俺ば何と思っとるとか。えっと……」

「あ、早速紹介するね。こっちが私の友達の青柳未来さん。で、こっちが私の……」

「初めて……じゃなかよな。明日美の彼氏の御子柴友也です。いつも会社で明日美がお世話になってます。よろしくな、瀬名くん」

瀬名くんに紹介しようとした私を遮り、自己紹介した友也。

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