いつか、きっと。
「………………しょんなかか」

未来がボソッと呟くように言った。

「未来……………」

「小学生から中学生になるってさ、ものすごく大きな出来事って思わん?大人にちょっと近づいた気のするし」

うん、そうかも。

私もそんな気がしたから、コクンとうなずいた。

「でも、中学生もまだまだ子供ってことよね。結局は親の言うことば聞かんばし、自分のしたかごと……思い通りにはなんでもできんとやもんね」

「そうね。中学生までは義務教育やけん、自分の好きなごとはできんとかもね。今はまだ育ててもらいよる立場やし、仕方なかとかも。ごめんね未来……。一緒に行くって約束したとに」

親には逆らえない。

だって私たちはまだまだ子供なんだから。

「だって明日美のせいじゃなかやろ?明日美が私と一緒に行きたいって思ってくれたけん嬉しかったよ。中学は仕方なかけど、高校は一緒がよかね」

「うんうん!そしたら同じ高校に行けるごと勉強ば頑張らんばいけんね!」

最初はものすごく不機嫌になった未来も最後には分かってくれて、ホッと肩の力が抜けた。

高校は自分の努力次第である程度選べるようになるはずだから、未来と一緒に行けるようになるかもしれない。

同じ中学に行くという約束は叶わなかったけど、その約束は高校までの持ち越しってことでいいよね?

もしかしたら、未来の機嫌が治らず『絶交』なんて言われてしまうんじゃないかという心配もしてたけど、そうならなくて良かった……。

そう安心していたけど、それだけではなかった。

やっぱり私の心には約束を破ってしまったという未来への罪悪感がどうしても拭いきれなかった。

一応は分かってくれたみたいだけど、このまま二人の距離が離れてしまいそうな感じがしてしまう。

転校して毎日会えなくなってからは心まで遠くなってしまっている気がするし。

でも仕方がない。

自分で決めた事なんだから。

私はこの時の未来がどんな気持ちだったのか、分かっていなかった。

未来のことを真剣に考えていたつもりだったけど、結局は自分のことしか考えていなかったのかもしれない。

未来と友也。

どっちも私にとって大事な親友には違いなかったはずだったのに。

私の中でいつの間にかバランスが狂ってきていたということに、この時の私が気付くはずもなかった。

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