いつか、きっと。
売店は本当に小さな小屋みたいな感じで、ひっそりしてるなと思ったら無人だった。

昔はやってたような名残があるけど、今は営業してなさそう。

ただ、自動販売機がいくつか置いてあるだけだった。

「なーんだ。お菓子とかもあるとかなって思ったとに。つまらんねぇ」

「なんや、まだ何か食うつもりやったとか!?もうよかやろ。てかさ、そこのベンチでちょっと休憩せんか」

瀬名くんがベンチを指差して誘ってきた。

これは好都合。飲み物買うだけじゃ時間が短すぎて持て余してしまうと思っていたから。

だって今頃、未来が友也にいろいろ聞き出してくれてるだろうから。

「もしかして瀬名くん、タバコ吸い足りんかった?私タバコは好きじゃなかけど、ちょっとだけなら吸ってもよかよ」

「タバコはさっき吸うたけんよか。俺ヘビースモーカーでもなかし。それよりさ、お前らなんか企んどる?」

まっ、まさか瀬名くん私たちの作戦に気付いてた?

「企んどるって……?」

「さっきの未来ちゃんなんかちょっと変やったし。かと思えば生田が一人で怪しか動きばしよるし。なんかあったと?」

私からしてみれば未来は堂々としてたような気がするのに。

その未来の変化にも気が付いてたなら、私の怪しさってどんだけ酷かったのか。

「なんかって訳じゃなかけど。ちょっと未来が友也と話ばしよるだけ。未来ってちょっとお節介なところのあるけん、私のために作戦立ててくれたと。いままさに実行中さ」

これ以上誤魔化す自信がなかったから、瀬名くんには作戦ってこと言っていいよね……。

「ふーん。でもお節介は生田も同じやろ。未来ちゃんに頼まれてダブルデートとかセッティングしたとやろうし。まあお陰で気分転換にもなったし俺もそれなりに楽しかったけど」

「未来と私は親友やけんお互いのために協力し合うとは当たり前って思うとるよ。瀬名くんはおらんと?親友とか」

瀬名くんのプライベートって謎な感じなんだよね。

別に興味がある訳じゃないけど。

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