いつか、きっと。
「親友……か。今は特にそう呼べるやつはおらんかな」

『今は』ってことは、前はいたのかな。

まあ私には関係ないことだけど。

「あ…………降ってきた」

「えっ?」

ここは屋根がある場所だから気がつかなかったけど、外を見るとポツポツと雨が降っている。

「今日、雨降るって聞いとらんとけど!」

友也たち大丈夫かな!?

あの二人はどこで話をしてるんだろう。

「山の天気は変わりやすかって言うしなあ。通り雨かもしれんし、止むとば待ってみるか」

「そうね……」

どしゃ降りではないけど、傘がないと車を停めている場所まで結構距離があるから濡れてしまうだろう。

まだあの二人と合流するには早いかもしれないし、この雨はちょうど良かったのかも。

戻れなかった言い訳にできるし。

「……なんか、止むどころか酷くなりよる気のするとけど」

「俺もそがん気のする。どうする?濡れると覚悟で車に戻るか。御子柴に電話してみろよ」

「うん……。じゃあまず未来に」

もう四十分くらいは経っているし。

そろそろいい頃だとは思うけど。未来の方から連絡が来るはずなんだけど、いつまで待てばいいのか分からないし、電話してみよう。

『お客様のおかけになった電話は、電波の届かないところにおられるか電源が入っていないため、かかりません』

「やだ未来ってば電源切ってる!」

「マジか!話の邪魔ばされんごと切っとるとやろ。用意周到やな。御子柴は?」

未来のことだから、友也にも同じようにさせてるかも。

友也の携帯にかけてみたけど、やっぱり繋がらなかった。

「だめだった。まだ話の終わっとらんとかも」

連絡来るまで待つしかないの?

「案外電源切ったこと忘れとるとかもしれんぞ。大事な話なら多分車の中におるとやろうし、行ってみるか」

雨は幸いにもさっきより弱くなってるようだった。

「あ、待って!飲み物買っとらんやった」

慌てて自販機で買って、車まで走ることにした。

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