いつか、きっと。
仕事を休んでいる間、何もすることがなく自分の部屋で一人きり。

隔離されているのだから当然だけど、普通だったらこの孤独が寂しくて堪らなかったはずだ。

だけど今は一人きりでいられるこの状況がありがたい。

まだ誰とも話をする気分にはなれそうもない。

何も考えたくないのに、思い出されるのは友也と一緒にこの部屋で過ごした日々のこと。

そして、この部屋だけでなく友也の部屋でも二人きりだった。

何度も何度も飽きることもなく唇を重ねたり、抱きしめ合ったり。

例え偽者の彼女でも、想いを伝え合わなくても、友也と一緒にいられることが幸せだった。

今は偽りの恋人でも、そのうち本物の恋人同士になれるはずだと信じていた。

もう私の夢は叶わないのかな……。

友也が私に「好き」と言ってくれなかったのも、私に言わせようとしなかったのも、こうなることを想定していたからだったの?

友也は大学生の時に、未来の職場である学習塾でアルバイトしていたことがあった。

あの時から未来のことを密かに想っていたのだとしたら……。

私が気付かなかっただけで、友也と未来はもしかしたらなにかしらの繋がりを持っていたのでは?

だとしたら私は二人から裏切られていたという事になってしまう。

そうは思いたくないけれど、今の私はネガティブの塊みたいになってしまっているから、どうしても後ろ向きな発想しか浮かんでこない。

私はいま病気だから、心まで弱ってしまっているんだ。

インフルエンザのせいにして、とにかく身も心も休めるしかない。

未来から『連絡ください』ってメールが来ていたけど、もうしばらく連絡なんてできそうにもない。

もう少し待ってもらおう。

それにしても友也から電話もないしメールも来ないなんて。

一体どういうつもりなんだろう。

未来に連絡するよりも先に友也とコンタクトを取るべきなんじゃないかって思ったりもするけど……。

友也から何を言われるのかと思うと、正直言って怖い。

熱が下がり少しづつ身体が楽になって来るにつれて、パニックになっていた私の脳内も段々と冷静さを取り戻しつつあった。

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