いつか、きっと。
「ケンカでもしたと?もうそろそろ明日美の方から連絡してよか頃じゃなかとね。なんのあったとかは知らんけど、意地張らんでちゃんと向き合わんばよ。女は素直が一番やけん」

「うん……そうやね。お母さんの言う通りばい」

このままじゃいられないってことくらい、分かってるつもりではいる。

インフルエンザ発症からもう五日は過ぎてるから、うつす心配もないだろうし。

友也が平気だってことは未来も大丈夫だったんだろう。

二人がなんともなくて良かった。

こんな時なのに。

裏切られたかもしれないのに。

二人の無事を喜んでいるなんて……。

私の目撃したことが、何かの間違いだったらいいのに。

私はもしかしたらとんでもない誤解をしてしまっているのかも。

なんて、自分の都合のいい方に考えようとしてしまう。

ネガティブを通り越して、ポジティブ発想に切り替えようとしてる私の妄想力はたくましいと思うべきなのか。

ただ単に自分が傷つくのが怖いだけなのか。

未来から電話もメールも来ていたのに、ずっと放置したままだった。

連絡、しないといけないよね。

電話に出なかったのは私が悪かったかもしれないけど、それにしてもあのメールの文面は未来らしくなくて驚いてしまった。

こっちの都合なんてお構いなしに、話があるから連絡してって。

いつものメールのような愛想の欠片もない、事務的なメール。

それならこっちだって、同じようなメールを返すしかない。

『連絡遅くなりました。明日だったら時間取れそうです。時間は何時でも構いません』

直ぐに返事が返って来るのかと思って待ってたけど、返事が来たのは数時間後だった。

『明日は急用ができて夜しか時間がないけどいい?フレスポ内のファミレスに八時なら行けそう。では明日』

急用ってなんだろう?

私と話したいとか言っておいて、急用の方を優先するなんて。

よっぽど大事な用なのか……。

まあ私には関係ないけど。

とにかく明日、逃げずに未来と向き合おう。

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