いつか、きっと。
二人がけのテーブル席に座り、窓の外を眺める。

まだ近くに未来の姿は見えない。

急用があると言っていたから、そんなに早くは来ないだろう。

未来に会ったら、まず何を言えばいいのかな。

他愛もない世間話から入った方がいい?

それともそんな前置きなんて省いていきなり本題に入った方がいいの?

未来に会うのにこんなに身構えたこと、今までにあったかな。

未来は今日、私に何を言うつもりでいるんだろう。

話を聞く前にあんまり考えたくないのに、一人でいると勝手にスイッチが入ってしまうようで、あの一週間前の衝撃的場面が頭に浮かんでしまう。

覚悟は決めたつもりでも、いざとなると逃げ出したくなってしまう。

最初は窓の外に視線を向けていたけど、未来が現れる瞬間が怖くなって、いつの間にか目を閉じてしまっていた。

周りの雑音に混じって近くを通る足音に耳を澄ませようとするけれど、自分の鼓動が邪魔で聞こえない。

「……お待たせ、明日美」

突然聞こえた私を呼ぶ声に、ハッと目を開けた。

そこにはいつものような笑顔ではなく、ちょっと硬い表情の未来が立っていた。

「……待ってたよ未来。さあ、座って」

他人行儀に突っ立ったままの未来を向かいの席に促すと、ようやく席についてお互い真正面から向き合う形になった。

「思ったより早かったね。もう用事は済んだと?」

未来と向き合ってみると、自然と話しかけてしまっていた。

緊張も今はそれほどしていない。

これで未来がいつものように喋り出してくれたなら、私たちは何事もなかったかのように会話が弾んでしまうんじゃないかって、思えたりもして。

だけどやっぱりそんな訳にはいかない……よね。

「うん。連絡くれてありがとう。もしかしたらあのまま無視されてしまうんじゃないかって思ってたけど、とりあえず来てくれてよかった。あんまり時間かけたくないから早速だけど……」

「あ、待って未来。飲み物でも頼もうか。もう食事済んだ?」

ここはファミレスなんだから、まず注文しないと。

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