いつか、きっと。
「私はイケメンが好きとは一言も言うとらんよ!!だって、私が好きとは……イケメンじゃなくて……」

私が好きなのは、友也しかいないのに。

事故のようなファーストキスからずっと、私の心の中には友也しかいなかった。

そうよ、未来と一緒の中学に行くって約束を破ってまで私は友也のそばにいることを選んだんだから。

薄暗い車の中、こんなにも近くにいるのに。

友也はじっと前を向いたままで、私の方を見ようとはしない。

その横顔を食い入るような眼差しで見つめているのに、ちっとも動かず黙ったままの……無表情。

何を言えばいい?

どうしたら私の方を向いてくれるの……友也。

もう今更、手遅れかもしれないけど、告げてもいいかな。

十年以上も胸に秘めてきたこの想い。

何度か打ち明けようとしたこともあったけど、結局言えずにいた私の友也に対する気持ち。

言えないまま終わるよりは、叶わなくても自分に正直でいたい……。

「友也、聞いて欲しいの。私ね、友也のこと……」


「言うなっ!!」


ビクッとして、言葉が出なくなってしまった。

「ごめん明日美……。いまここで、その言葉ば聞くわけにはいかん。だけん言わんで明日美……。頼むけん」

「どっ、どうして!?言わせてもくれないなんて、そんな……」

友也はハンドルに突っ伏してしまった。

どんな顔してるのか、ますます分からなくなってしまったけど、その声は苦しげで、切羽詰まったようでもあった。

私は、結局友也の言うことに逆らえない。

友也が『言うな』って言ってるのに、言えるわけがないのだ。

今までだって、そうやってきた。

友也が望んでいないことを私ができるわけがない……。

もう、私が友也への想いを告白できる日は、永遠に来ないのかもしれない。

そんなことをボンヤリと思った。

「じゃあ、その代わりに一つ聞いてもいい?どうしてこの一週間、一度も連絡くれんかったと?」

本当は未来からよりも、友也から連絡欲しかった。

< 208 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop