いつか、きっと。
「本当に大丈夫か?休み明けで急な話やし、行くにはそれなりの準備も必要やろ。瀬名には俺から連絡しとく。いつから行けるか?できるだけ早か方が助かるけど……」

「私は直ぐにでも構いませんよ。長期出張でしたら一度家に帰って準備してきていいですか?」

佐世保の事業所は、様々な企業がが集まっている"卸団地"の中にある。

で、その卸団地内の企業に勤めている人のための"独身寮"というものがあって、出張の場合もそこを利用することが出来る様になっているのだ。

いまやりかけている作業を終わらせて、出張の準備のために帰宅し、そのまま佐世保に向かうことになった。

「駅まで瀬名が迎えに来るっていうけん、着く前に連絡して。引き継ぎが済み次第、瀬名にはこっちに戻ってもらう。なんかあったら連絡しろよ。それじゃよろしくな、生田」

「はい課長。行って参ります」

急な出張になってしまったから、お母さん驚くだろうな。

でも私にとっては、しばらく友也や未来から離れられて良かったかも。


一旦帰宅して出張になったという事情を説明すると、途端に慌て出した母。

「佐世保!?今から行くとね!えらいまた急な話ねー。出張ってことは泊まりやろ。病み上がりの人間ばこき使うとばいね、あんたの会社は……」

お母さん、思った通りのリアクションだよ。

「仕方なかとって。インフルエンザの流行中で人手不足やもん。私も休んどって迷惑かけたし。そいに命令されたわけじゃなくて、自分から志願したとよ。課長も私が適任って言うてくれたし」

そうよね、私嘘はついてない。

「別にお母さんは反対しとるわけじゃなかよ。ただ明日美のことばちょっと心配しとるだけさ。急いで行かんばとやろ、準備手伝うけん。……で、どのくらいかかると?その出張は。いつ帰ってくると?」

「うーん……。行ってみらんばよう分からんけど。課長はもしかしたら長期になるかもって言いよった。とりあえず一週間から二週間くらいはみとった方が……」

「そげんかかると!?大荷物になるたい!あんた一人で大丈夫ね?」

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