いつか、きっと。
「なんね、言いたい放題言うてくれてから!瀬名くんなんか福岡でもどこでも消えてしまえばよかっさ!」

「はっはっは。なんやちょっとは落ち込んどるとかと思うたら、十分元気やっか。で、仲直りできたとか?」

も、もしかして瀬名くん……。

私の事、心配してくれてたのかな。

変に慰められるよりも軽口を叩き合ってたほうが、気分が楽かも。

「仲直り?別にケンカしたわけじゃなかよ。私たちのことは気にせんで。それより!仕事に集中せんば。瀬名くんの人生プランのためにもね」

「ちぇ。はぐらかして来やがった。まあよかさ。さ、乗った乗った。まずは独身寮に寄るけんな。それにしてもえらい身軽やな」

駐車場について、瀬名くんの車に促される。

助手席のドアに手をかけようとしてやめた。

「私、後ろに乗るね。荷物もあるし」

さっき瀬名くんに言われた通り、長期出張にしては少ない荷物だけど。

助手席には座りたくなかった。


独身寮に荷物を置いて、新しい職場に向かう。

「俺は明日の午前中には長崎に戻るつもりやけん。生田とは約半日の付き合いってことになるな。寂しかやろうけど、泣かずに頑張れよ!」

「なんば言いよっとかな。どうせもうすぐ長崎からおらんごとなっとやろ。私は別になんともなかよ。もしかしたらこのまま瀬名くんとはお別れかもしれんね!」

だとしたらちょっとは寂しいかな。

いやいや、そんなことはない。

清々するよきっと。

「またまたぁ、強がってからに。でも俺も異動までは福岡と長崎ば行ったり来たりになりそうやし、生田とはすれ違い人生かもな。今生の別れば惜しまんばいかん……。って、おい!どっちに行きよっとかお前。こっちぞ!早速迷子か」

「え、車こっちやろ?」

「歩きに決まっとるやろーが。お前、明日から一人で歩いて行かんばとぞ。道順ちゃんと覚えろよ」

明日の午前中まで居るって言ったくせに。

仕方なく瀬名くんの背中について歩いて行った。

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