いつか、きっと。
「ふーん、お前もか。俺がおる間にでも来れば?なんやったら俺がどうにか理由ば作って呼びつけてやってもよかぞ」

だからその偉そうな態度はなんなのかな。

でも瀬名くんって口では態度がでかいけど、その裏には優しさが隠されていたりするんだよね。

だから憎めなかったりするんだもんな。

「うん、呼んで呼んで。課長に『どうしても生田に来てもらわんば困る!』とか言うてさ」

「……いつもなら反論してくっとに。なんか調子狂うなぁ。でもさ俺が生田ば呼びつけたって知ったら、御子柴が黙っちゃおらんやろうな!福岡まで乗り込んで来られたら迷惑ばい」

……だからなんでここで友也を引っ張り出してくるかな。

「でも私もいつ長崎に戻れるかはっきりしとらんし。佐世保におるうちは無理かなー。もしかしたら私このまま佐世保の人間になってしもうたりしてね?そしたら……」

「おい生田。さっきからずっと……わざとか?御子柴の話題ば避けようとしよるやろ」

「う…………。き、気のせいじゃ?私と友也のことは放っといてくれんかなー」

私たち本当は付き合ってなかったの。

私は友也の偽者彼女やった。

でも親友ってことには変わりない。

……そんなこと、瀬名くんには言いたくない。

嘘をつくつもりなんてないけど、正直になんでもかんでも話すつもりもないし。

ちょっとは空気読んでよ瀬名くん。

「俺だって一応目撃者やし。その後どうなったか気になって当たり前じゃね?ま、言いとうなかとなら無理矢理聞こうとまでは思わんけどさ。その様子じゃ仲直りもできとらんごたるし、一応職場の同期としてちょっとだけは心配かな」

同期として……ね。

確かに私たちの間にそれ以上の関係って有り得ない。

「ありがとう心配してくれて。でも本当に大丈夫やけん、瀬名くんは安心して福岡に行ってよかよ。瀬名くんの人生プランが上手くいくごと私も陰ながら応援しとるけん」

「……俺さ、お前らみたいなカップルが羨ましくなったとぞ」

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