いつか、きっと。
「俺たちも部屋に三人やったけん、ちょうど良くね?」

何がちょうど良いのか分からないけど、せっかくの修学旅行の夜だもんね。

みんなでワイワイできればいいか。

それに私は友也と一緒にいられればそれが一番嬉しい。

友也が私を誘いに来てくれたことが嬉しくてたまらないのだ。

「なんば言いよっと。たまたまやろ?可哀想かけん行ってやるよ」

心とは裏腹に憎まれ口をたたく私。

「明日美!友也くんに悪かよ、そがん言わんでも……」

真実が慌てて口を挟むけど、友也は友也でケロッとしている。

「ああ別に気にしとらんよ。可哀想かとはお互い様やけん」

こんなやり取りは日常茶飯事だから、気を遣う必要はないのに。

それにしても、私は真実と京子のことを"ちゃん付け"から"呼び捨て"するようになったけど、逆に二人は友也を"呼び捨て"から"くん付け"するようになってる。

小学生と中学生では、微妙な変化があったりするもの。

周りの友達の中で微妙な変化がある中で、私と友也だけは変わらない。

今でも『友也』『明日美』とお互い呼び捨てで呼び合ってる。

だから私が友也を特別に想っているように、友也も私のことを特別だと想ってくれているんじゃないかって自惚れたくなってしまうんだよね。

友也たちの部屋に入ると、中には一人しかいなかった。

町田くん、同じソフトテニス部で友也と仲がいいんだよね。

「おい良彦、涼介は?さっきまでおったろ?」

「なんか約束あるけんって出て行ったぞ。まあアイツやけん仕方なかさ」

涼介くんか。

彼は頭もいいしモテるから、いまごろ女の子と会ってるんだろう。

京子と真実が顔を見合わせて何か言いたげにしていた。

涼介くんが部屋にいることを期待していたんだろうか?

結局、女子三人と男子二人だったけど、残り少ない修学旅行を楽しむべくいろんな話題で盛り上がっていた。

「有紀たちに手紙書いて来れば良かったかな?」


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