いつか、きっと。
「特に御子柴には感謝しとる。福岡に異動になる前に会う機会もなかろうけん、生田から御子柴に言うとって。いろいろとサンキューってな。頼んだけんな、必ずお前から伝えてくれよ?」

「え、ちょっと待って。そがんこと言われても……」

どうして私に頼むの?

何を企んでるの、瀬名くん……。

「さっき言うたごと、俺だって頑張るとやけんお前も頑張れ。それから、未来さんのことけど」

え、今度は未来?

っていうか、この前は『未来ちゃん』って呼んでたくせに。

『未来さん』だなんて、どうしちゃったの!?

「彼女は素直っていうか、一途っていうか……。お前ら二人よう似とるって思うぞ。だけん仲良かったとやろ?親友っていうくらいに。未来さんはちょっと仕返ししたかっただけじゃなかとかな。『やられたら、やり返す』的な。生田と同じことしたかっただけじゃなかか?」

…………同じこと?

「そうかな。私は未来の彼氏ば奪ったつもりなかけど」

「は?」

「え?」

二人キョトンと顔を見合わせた。

やだ、私としたことが。

『大丈夫だから私と友也のことは放っといて』と言い張ってきたのに。

なんでカミングアウトするような発言しちゃったんだろう……。

「あ、いや俺が言いたかったとは、そういう事じゃなくて。つまり未来さんは生田の真似したかっただけじゃなかかなって……。ごめんこれじゃ上手く伝わらんか。とにかく!俺みたいに投げやりになるなよ。俺も陰ながら応援してやるけん。相談くらいなら乗ってやるし。じゃ、今度こそ……帰るけん」

支払い伝票を持ってレジに向かう瀬名くん。

さっきの私の発言について何も突っ込んでこなかったけど……。

わざとスルーしてくれたの?

それとも…………。

「待って瀬名くん!そんまま帰らんで!!その前に私ば会社まで送って行ってよー」

慌てて瀬名くんを追いかける。

こんなとこに置いていかれたら困る。

でももう瀬名くんのことを頼りには出来なくなるね。

私も頑張らなきゃ。

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