いつか、きっと。
"させぼ五番街"でランチして、私を独身寮まで送ってくれた後、両親は長崎に帰っていった。

久し振りに家族水入らずで過ごすことができて、心が安らいだような気がする。

お父さんもお母さんも、私を元気付けようとしてくれたんだと分かるから、その優しさが嬉しかった。

特別に励まされたわけじゃないけど、私を気遣ってくれる優しさについ甘えてしまってちょっと情けない。

休みだから迎えに来てくれるっていうのは有り難かったけど、出張が延期になったからってまさか泊まりがけで遊びに来るなんて思わなかった。

私が思った以上に二人には心配させてしまっていたのかも。

だから私の様子を見に来てくれたんだろうな。

大丈夫だったかな。

私ちゃんと『元気だから大丈夫』ってアピールできてたかな。

ちゃんと二人を安心させることができた……?

長崎に帰るまであと四日。

まだ時間はあるし大丈夫。

私だっていつまでも落ち込んでたりしないんだから。


"海きらら"初めて行ったけど、楽しかった。

だけど私にとっては、友也と一緒に行った"ペンギン水族館"の方が印象深くて、心から楽しむ事はできなかった気がする。

イルカショーを見ることが出来たのも嬉しかったけど……。

友也もイルカが好きだと言っていたから、見たかっただろうな。

私だけ先に見ちゃってごめんね。

遊覧船"パールクィーン"を選んだのも、お母さんのためだけではなかった。

私が乗りたいと思ったのは海賊遊覧船"みらい"の方だった。

でも私が乗りたかったというよりも、友也だったら絶対"みらい"を選ぶだろうなと思ったのが本当。

電気で走る遊覧船っていうのも興味深いけど、それよりも海賊ハットをモチーフにしてる外観というのが、友也が好きそうだったから。

写真とかいっぱい撮ったりするだろうな。

真珠の玉出し体験だって、友也と一緒だったらやりたかった。

アクセサリーに加工してもらえば記念になるだろうし。

佐世保バーガーなんて、食べられる訳がない。

友也がいないのに。

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