いつか、きっと。
送別会のことを伝えるために瀬名くんの携帯に電話をかけた。

『生田が幹事?そんなら遠慮なく参加させてもらうかな』

送別会なんだから主役が参加しないと成立しないんだけど。

まあ瀬名くんがいなければただの慰労会ってことにしてもいいけどね……。

「場所の希望とかある?駅前がよかかなって考えとるけど」

『駅前ならどこでもいいんじゃ?お前に任せる』

意外だった。

瀬名くんだったらお店を指定してきそうだと思ったから、決めてもらうつもりだったのに。

今は忙しくて余裕がないのかな。

「じゃあ私がお店決めるけんね。それじゃ」

『おいおいおい!ちょっと待てって。えらいあっさり切ろうとしたな。自分の用事だけ一方的に喋ってからに』

だって私が用事があったからかけたんだよ。

私の用が済めば切るでしょ普通。

ちょっと呆れてポカンとし、発するべき言葉が見つからなかった。

『生田さぁ、御子柴と話したか?』

「えっ、友也と?いや……話しとらんよ。お互い仕事が忙しかったりして、時間の合わんけんさ……」

『はあ、生田って嫌なことから逃げようとするタイプやろ。俺からこがんこと言うともなんやけど、御子柴のことば信用してやってくれんかな』

ど、どういうこと……?

「信用するって……何を?」

『俺の口から言うわけにはいかんとけど、御子柴にもいろいろ複雑な事情のあるってことさ。これ以上のことは今は言えん。生田には悪かけど』

「複雑な事情って!?そがんこと言われても……。信用しろとか、意味の分からんよ。だいたい私と友也なら別に何でもなかけん大丈夫って、この前から言いよるとに」

瀬名くんは私たちの事情について全部知っているような気がする。

誰から聞いたのだろうか。

友也か未来のどちらかしか考えられないけど。

『まあいいや。じゃあ代わりに俺の話ば聞いてくれんか。生田と未来さんが親友っていうごと、俺にも昔おったっさ……親友の』

< 233 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop