いつか、きっと。
「じゃあまた親友に戻れたと?良かったね。それで、てっちゃんに彼女とのことも全部話したと?」

『ああ、全部言うた。てっちゃんも一方的に俺ば悪者にしてごめんって謝ってくれた。それから、また彼女と付き合いたかって思っとることもちゃんと話した。そしたら、てっちゃんも今付き合っとる彼女のことば話してくれて……』

てっちゃんの彼女さんがどうも結婚を迫っているみたいだけど、てっちゃんは大きな仕事を任されている真っ最中で大変らしい。

てっちゃんとしては仕事に一区切りがついてからプロポーズしようと考えているようだけど、彼女さんはてっちゃんの煮え切らない態度に我慢できない様子。

そこでとんでもない作戦を実行中だという。

『その作戦に周りの人間ば巻き込んでさ。俺は特に被害はなかったけど、一歩間違えば大惨事になるかもしれんやった。アイツのお陰で俺は免れたけど、俺も無関係じゃなかけん。どうにかならんもんかと気ば揉んどるところさ』

「その、てっちゃんて人も彼女さんもお騒がせやね。瀬名くんもいろいろ大変そう。でも長年の誤解がとけて良かったね。……てかさ、こがんじっくり語るような話は会った時が良かったかも。ちょっと耳の痛うなってきたばい」

まさかこんな長電話になるとは予想外だった。

電話って苦手なんだよね……。

友也とだってこんな長電話したことないよ。

『ごめんごめんつい。だけんさ、もうちょっとしたらケリのつくはずやけん。それまでは御子柴のこと信じて待っとってやれよ』

「はいはい。私たちはなんも心配してもらうことはなかけん。送別会楽しみにしとってね。じゃ」

『……ちぇ。送別会では生田と御子柴の話ばいろいろ聞かせてもらうけんな!同期としばしの別れば惜しんで語り明かそうで』

瀬名くんと語り明かす!?

あまり気は進まないけど、たまには付き合ってあげてもいいかな。

瀬名くんがいつの間に友也と仲良くなったのかも聞きたいし。






だけどその送別会は…………実現しなかった。


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