いつか、きっと。
「あの、小野さん。私が瀬名くんの代理を引き受けるとして、それが瀬名くんのためになるのかなって……。いい形でバトンを繋ぐことが出来るのかどうか分からないですし。復帰したときにかえってやりにくくさせてしまうんじゃないかと思ったりして」

瀬名くんが思い描く"人生プラン"の一端を担うのかもしれないと考えると、気軽に引き受けてはいけないような気もする。

第一瀬名くんの"人生プラン"には私の存在なんて一欠片も含まれていないんだろうし。

『生田お前、そいは問題ばすり替えとらんか。"瀬名のため"とか言いよるけど、ただ単に自分に自信のなかだけやろ。生田、お前は自信のなか時はなんとかして逃れようとする傾向にある。思い当たることあるやろう?』

「え……それは…………」

反論する言葉が見つからなかった。

私はまたしても逃げの姿勢だった?

このままじゃ、私はいつまで経っても変われない。

失敗や傷つくことを怖れてばかりでは、ダメだよね。

佐世保への出張は逃げの気持ちがあったのは否定できない。

友也や未来から離れることで冷静になりたかったし、なにより偶然にでも顔を合わせることは避けたいと思っていたのだから。

こっちに帰ってきてからも友也と会うことはなかった。

会ったとしてもどう接していいのか分からないから、ホッとしてはいるけど……。

それよりも普通に会えない今の関係が辛くて辛くてたまらない。

例え友也から恋愛対象として見られなくても、どういう態度を取ればいいのか迷っていても、私は友也に会いたくてたまらないのだと思う。

「私もそういう逃げてばかりの自分がイヤです。もっと自分に自信が持てるようになりたいと思います。瀬名くんのためじゃなく、自分のために頑張りたい……。小野さん、福岡でもし迷ったり悩んだりしたら助けを求めてもいいですか?」

『勿論、よかに決まっとるさ。逃げずに頑張っとる奴のことは誰も放ったらかしにはせんぞ。俺のことやったらいつでも頼れ』

< 244 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop