いつか、きっと。
決めた。

私、福岡に行く。

自分自身に自信が持てるように、頑張ってみよう。

「課長と今後のスケジュールを相談してみます。それで早速なんですが小野さんにお願いしたいことがありまして」

『分かっとる。俺も長崎に戻る前に一度福岡に行くつもりやったし。そこで瀬名が戻ってくるまでのプランば考えるとしよう。お前は瀬名のことばかり気にせず、自分主体で業務に集中すること。よかか?スケジュールについては俺も課長に確認しとくけん。しっかり頼むぞ』

私が頼むつもりだった福岡でのフォローを自ら買って出てくれるなんて。

さすが小野さん、切れ者感ハンパない。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

課長は社外に出ているけど、もうすぐ帰ってくるはず。

それを待って、福岡行きを宣言しよう。

決心が鈍らないうちに。

そして、福岡に行く前にもう一度ちゃんと友也と向き合おう。

このままだときっと後悔するだろうから。

もう、逃げないと決めたから。





「今度は福岡って!?あんたんとこの会社はどがんなっとっとね。なんでいつもそがん急かと?」

お母さんが驚くのも無理はない。

私は小野さんに相談しただけで福岡に行くことを決意したんだから。

お母さんやお父さんに何も言わず決めたのは悪かったと思うけど、もし反対されたとしても私の決心は変わらなかっただろう。

「もう明日美も子どもじゃなかけんな。いろいろ考えたうえで決めたとやろう。その同期の瀬名くんって、回復の兆しはあるとか?」

お父さんは私が福岡行きを決めた事、理解してくれたようだ。

だけど瀬名くんの仕事復帰の目処が立っていないということは、心配要因の一つでもあるんだろうな。

「お医者さんはもうすぐ意識も戻るはずって言ってくれてるようだし、きっと大丈夫。それでね、今週の木曜から土曜まで前準備のための出張になったけん。その後はまたこっちで引き継ぎせんばし。だいたい二週間後くらいには着任ってことになるって思っとってね」

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