いつか、きっと。
真実は町田くんと観覧車に乗る約束していたらしい。

いつの間にそんな約束してたんだろう?

小走りに去っていく真実を見送りながら呆気に取られていると、京子が呟くように言った。

「昨日、私見ちゃったんだよね」

「見たって、何を?」

「ほら、男子の部屋で電気の消えたたい?あん時、町田くんが真実の手ば握って……」

え、嘘!?

あの時、確かに町田くんと真実は意気投合したみたいだったけど。

「それでね、小声で『明日観覧車一緒に乗ろう』って。私に聞こえとるけど良かとかな?ってドキドキしたよ……」

「へぇ、そうなんだ。全然知らんかった……」

だってその時って私は、自分のことでイッパイイッパイだったし。

あれ?ちょっと待って。

あの時真っ暗闇だったよね。

「ねえ京子、町田くんが真実の手を握ってるとこ、見たって言った?」

「あ、うん。何気なく真実の方ば見たら目に入ったと。これ、誰にも言わんでね!!」

「う、うん。言わんよ」

あんなに暗い中でも、京子には真実たちのしてることが見えたんだ。

ということは……まさか!?

私のことも見ていたんじゃない?

急にドキドキしてきた。

京子に何か言われるんじゃないかと思ったけど、その心配はすぐに消えた。

「京子ちゃーん!後輩たちにお土産選ぶと付き合って!あ、良かったら明日美ちゃんも一緒に行かん?」

京子と同じ美術部の友達が呼びかけてきた。

「私は真実ば待っとくけん、京子は行ってこんね。お土産後輩も待っとるやろうけん買わんばもんね」

「うん、行ってくる。真実には言うとってね。じゃあまたあとで!」

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