いつか、きっと。
未来と友也が結婚するとしても、その先のことは二人で話し合って決めるべきだと思う。

友也がいないのにお互いの両親が顔を合わせて、何を話したというのだろう。

なんか不思議な感じだけど、きっと私には分からない事情とかもあるんだろうし、私が気を揉んでも仕方がない。

それにしても、二人が付き合うことになってまだ二ヶ月しか経っていないのに。

この急展開は一体なんなのか。

私が友也の"偽者彼女"でいられたのは高一の秋からWデートまでの間だから、十年半。

友也が私とキスより先に進もうとしなかったのは、偽りの関係だったからなんだろうか。

未来とは、深い関係になるまで時間がかからなかったんだ。

それだけ気持ちの度合いが違ったということなの?

そこが"偽者"と"本物"の差、なのかな。

未来から話を聞く前に心構えをしておくつもりだったけど、そう簡単にはいかないようだ。

携帯を見ると時刻はちょうど十時。

まだ未来の姿は見えない。

約束の時刻をとっくに過ぎても、未来はまだ来る気配がない。

遅れて来るかも知れないし、もう少し待ってみようか……。

それから三十分が経過した。

どうしたんだろう、未来。

もしかして時間を間違えたかな。

昨日未来と約束した時間は、確かに十時だったはずだけど。

未来の方が勘違いしてる?

でも未来の方から指定しておいて間違えるとかちょっと考えにくい。

いくら精神的にダメージを受けていたとしても。

メールや電話をしてみたけど、返事も応答もない。

もしこのまま待って来なかったら時間の無駄になってしまう。

こうなったら未来の家まで行ってみるしかないかも。

それしかもう方法が思い付かない。

とにかく行ってみよう。

今いるファミレスから未来の家までは、歩いて十分くらい。

バスだったらもっと早く行けるかな。

雨も降っていることだしバスでもいいけど……。

バス停での待ち時間を考えると、得策ではないような気もする。

歩いて行こう。


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