いつか、きっと。
「そのことさ、友也は知っとると?」

…………は!?

知っとるも何も、張本人だよ。

知らないわけがないじゃない!

あ、でもその事実を知っているのは私と友也二人だけか。

私は誰にも話してないし、きっと友也だってそのはず。

だって当の私たちでさえ、あの事はあの日以来話題に上ることはない。

封印されたままなんだから。

もしかしたら、もう友也は忘れてしまっているのかな?

だとしたら私、ショックで立ち直れないかも。

「友也は……どうなんやろうね。私にもよく分からんよ」

そういえば、私ばかりが質問されているよね。

私だって聞いてやらなきゃ!

「涼介くんはどうなの?アレが初めて……だった?」

まさか私の方から同じことを聞き返されると思っていなかったのか、急に焦りだした涼介くん。

「あ、え?俺!?……なんで俺?……あーいや、俺も実は初めてじゃなか。っていうか、俺の事はどうでもよかやろ!」

な、なんか涼介くん、顔が赤いよ?

もしかして、照れているの?

涼介くんってモテるんだし、キスくらい誰かとしてたっておかしくないって思ってた。

だから軽い気持ちで聞いたのに、予想外な狼狽えっぷりに逆に私の方が恥ずかしくなってきた。

少しの間、二人とも黙ったままでモジモジとしていたけど……。

その沈黙を破ったのは、やっぱり涼介くんの方だった。

「明日美って、あん時意外と余裕やったとな?自分のことでイッパイイッパイになって周りなんか見とらんってばっかり思い込んどったばい。まさか、見られとったとは……。誤算やった」

…………なんて?

『まさか、見られとったとは』って何が?

私、何か見たって言ったかな?

そんなことを言った覚えはないんだけど……。

「まあ、お互い様ってことで。運命共同体って思えば、明日美も少しは安心やろ?……と言うわけで、お互いの秘密は守ろうな。誰にも内緒って約束ぞ。じゃ、お前もいろいろ大変やろうけど頑張れよ~。じゃあな」

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