いつか、きっと。
『あのダブルデートけど、未来さんが俺に会いたかったとは実はてっちゃんに俺の存在ばちらつかせて、求婚ば決意させるつもりやったらしか。女って恐ろしか生き物ばい』



未来は遠距離恋愛に不安を抱えていたし、長崎に住んでる人がいいのかと悩んでもいた。

だけど本当は田代先輩と別れるつもりなんてなかったんだね。

そんな作戦を考えていたのなら、どうして私に言ってくれなかったんだろう。

知ってたら私だって協力してたのに。



「じゃあなんで、瀬名くんじゃなかったの?なんで友也と付き合うフリなんて……」



やっぱり私への仕返し、だよね。

よっぽどゆるせなかったんだ私のこと。



『そいは、御子柴が止めてくれた。俺とてっちゃんの昔の因縁について知っとったけん。てっちゃんと和解したいと願う俺のために、自分が犠牲になって俺ば守ってくれたっさ』



瀬名くんは、田代先輩と幼馴染みだったと聞いて驚いた。

ずっと仲良しだったのに、中学でトラブって絶交されてしまったって……。



「その話、前に電話で聞いたよね。あの時は瀬名くんの親友のてっちゃんが田代先輩やったとは知らんかったし」



友也はいつから知ってたの?



『うん。生田にヒントばやろうと思うて、話したけど思いっきりスルーされた。御子柴は俺が未来さんの相手ってことになれば、昔の因縁のぶり返してしまうって心配したらしか。そいで仕方なく自分が付き合うフリすることにしたとやろ。御子柴だけじゃなく生田まで犠牲になってしもうて、俺も無関係じゃなかし責任感じてさ。大した力になれんで悪かったな』



「瀬名くんは悪くないよ。なんか可笑しかような気はしとったけど、未来から昔のことで責められて私も動揺しまくりやったし。友也も本当は気にしとったとかなって思ったり……」



友也、瀬名くんと田代先輩が仲直りできるようにいろいろ考えたり力になってあげたんだね。

確かに未来が瀬名くんと付き合うって言い出したら、田代先輩はまた瀬名くんに彼女を奪われたって思うだろうし、和解どころじゃなくなってたかも。



『御子柴がなんば気にしとったって?』



「え、ああそれは……」



私は散々友也のことをイケメンじゃないと言ってきた。

それが本当は嫌だったのかも知れない。

それで未来の作戦に乗ってしまったとか。



『御子柴、未来さんから弱味握られたんじゃね?』



弱味?



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