いつか、きっと。
『例えば、生田も知らんようなこと。そいばお前にバラすって脅されて仕方なく青柳さんの言いなりになったとか』



友也は未来に脅されてた?

そんなことあるのかな。

信じられないけど、有り得ないこともないかも。



「友也は私に何か隠し事でもしとると?未来が知った友也の秘密ってなんやろ。気になる……」



私に隠してるってことは、あまり良い内容ではないのかな。

それだったら聞かない方が良いのかも知れないけど、やっぱり気になってしまう。



「瀬名くんはそのこと知っとると?友也が私に知られたくない隠し事」



『うん、まあ。俺が知ったことと、未来さんが脅したネタが必ずしも同じとは限らんけど』



やだ、瀬名くんも知ってるの。

私だけ知らないなんて酷くない?



「瀬名くん、その秘密の内容ば教えて!私だけ知らんって仲間外れみたいで嫌ばい。だいたい瀬名くんは私に教えてくれるつもりでおったとやろ。もうこれ以上傷つくこともなかやろうし平気。さあ、瀬名くん!」



平気、とか言いながら実はドキドキしてるけど。

今聞かなきゃ、もう聞くチャンスなんて来ないかもしれないし。



『お前らさぁ……。お互いに「好き」って言うとらんとやろ。ようそいで今まで付き合ったりできたな。普通、告ってから付き合うもんじゃなかとか。意味不明』



「ちょっと!それは今どうでもよかことじゃなか?確かに私も友也も告白しとらんよ。もうバレとるなら否定しても仕方なかし認めるけど。でもそれが何か関係ある?」



それは友也が私に隠してることじゃない。

友也と私が皆に秘密にしてたこと。

私が友也の偽者彼女だったという事実。

もう今は偽者ですらないけど。



『あるさ、関係大有り。御子柴はな、お前に告白する時期ば最初から決めとるって。だけんまだ気持ちば伝える訳にいかんらしかぞ。その時期っていつか分かるか?生田』



え…………。

なにそれ、初耳。

友也と出会って約十五年になるけど、その時期ってまだ来てないんだ。



「そがんこと、私に分かるわけなかよ。って言うか、来るとやろうか……」



これだけ長い間、一緒に過ごしてきたのに。

友也と未来が偽りの関係だったからって、期待なんてできるの?

私たちの関係も偽りだった。

私はいつまで片思いしていればいいのだろうか。



『御子柴がお前に告るとは……』








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