いつか、きっと。
『ところで生田、お前土曜日は何時にこっちに帰ってくる?』



「今さっき帰ってこいって言われたばっかりとに、まだ何も考えとらんよ。多分昼過ぎくらいじゃなかかな。休みの日に早起きしとうなかし」



『じゃあ駅に到着する時間ば後で教えて。昼飯奢るけん待ち合わせようで』



奢ってくれるの?やったぁ!



『そんでさ、その後ちょっと付き合ってくれんか?』



「……え?」



ランチの後、一緒にアミュプラザに行ってほしいと頼まれた。

来週、瀬名くんの想い人である唯子さんの誕生日が来るらしく、プレゼントを選びたいって。

唯子さんが贔屓にしているアクセサリーのお店がアミュの中にあるらしく、そこで買うつもりなんだろう。



『俺もちょっと勝負かけるつもりさ。だけん生田にもアドバイスば頼みたか。俺のセンスはいまいち信用されとらんごたるけん』



「私でよかと!?でもさ、瀬名くん勝負かけるって。そがん大事かプレゼントとに、唯子さんに悪かような気のするとけど」



私が助言して選んだプレゼントなんて、唯子さんも喜んでくれるのかどうか。



『そいは心配要らんばい。唯子からのリクエストやし。実は唯子には、お前らのこと話しとる。本当は唯子と一緒にプレゼント買うつもりやったけど、仕事で都合つかんけんって。生田に一緒に選んでもらえって言うたとは、唯子やけんな』



そ、そうなんだ。

私だったら、他の女の人に選んでもらうなんて嫌だと思うけど。



「私なんかでお役に立てるか分からんけど、いいよ。瀬名くんと唯子さんが幸せになるための手助けなら、喜んでするよ」



『持ちつ持たれつ、てとこか。俺もお前と御子柴のためなら協力するつもりやし。で、御子柴に知らせんとか?土曜日に帰るって』



私がプライベートの携帯を電源切ったまま放置してること、バレてるみたいだし。

嘘ついても直ぐにバレてしまいそうな気がする。



「……知らせんよ。本当はこんがん早う帰ることになるとは思っとらんかったけん、まだ友也に会う心の準備できとらんし」



そういえば友也は、私が帰った時には時間を作ってほしいと言っていた。

一体何を言うつもりなんだろう。



『そっか、分かった。土曜日連絡待っとるけん。ロイホでランチするけんな。昼時目掛けて帰ってこいよ!』



瀬名くんたら……。

奢ってくれるんだし、いっか。





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