いつか、きっと。
大学?

まだ高校受験のことで頭がいっぱいで、大学とか考えたことないけど。

「進学校ば受けるってことは、大学進学ば目指すってことやろ。就職したかとなら進学校より商業高校の方ば選ぶと思うとけど」

「あ、そっか。そうたいね……」

私ったら、なんて失態を。

友也と同じ高校に行きたい一心で突っ走ってきたけど、大事なことを見落としていた。

「明日美の母ちゃんも言いよったぞ。『あん娘はいっちょん勉強しよらんやったとに、近頃急にヤル気ば出してから。まるで五校でも受けるごと頑張りよるけど、大学に行く気もなかとに』ってさ」

そうよ、お母さんの言う通り。

私が大学とか考えたことがないというのは、最初から眼中にないってこと。

何故なら私はお父さんと同じ"M重工業"グループへの就職を希望しているから。

勿論、大学進学して卒業後に就職という手もあるけど。

私は学歴より早く社会人として自立する道を選びたいから、高卒で就職したいと思っている。

それにしても、お母さん。

友也のうちにしょっちゅう遊びに行ってるのは知ってるけど。

余計なことをペラペラと喋ってるみたいで嫌になる。

「それに、明日美には一緒の高校に行きたかって思っとる友達のおるとやろう?」

「未来のことだよね……。お母さんってば、そがんことまで喋ったんだ」

もう、信じられん。

私の知らないところで私のことを何でもかんでも言わないでよ。

「商業高校なら、やっぱり公立がよかと?N商かM商それとも、私立やったらJ商か。就職に有利かとはどこやろな」

友也、完全に私が商業高校を受けるものと決めつけてる。

お母さんが吹き込んだんだろうな……。

友也が男子校に行くなら、私が共学の公立に行くのも意味がないような気がしてきた。

「ねえ、友也はどう思う?レベルからすればN商が上やろうけど」

「……じゃ、遠慮なくおいの考えば言うてもよか?」

その時の友也の発言によって、私は志望校を決めた。


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