いつか、きっと。
──3月。

中学校を卒業する日がやって来た。

友也は希望通りに南海高校にテニス特待生として進学することになった。

そして私は、友也が男子校に行くと知ってから進路を考え直すことになり、私立のJ商業高校に進学が決まった。

友也から勉強を教えてもらったり、五校を受けるつもりで頑張っていたから成績も上がっていたし、推薦試験を受けて合格することができたのは良かったと思う。

ただ、友也と別々の高校に行くことになるなんて。

高校生活の楽しみが半減……いや、七割減くらいかも。

でもこればかりは仕方がない。

友也が南海でテニスをしたいんなら応援したいし。

そうよ!違う高校でも試合を見に行ったり応援したりできるじゃない!

そう考えれば少しは気分も上昇した気がする。

だって私たち親友なんだから、いいよね?

それにもう一人の親友が私にはいるんだから。

そう、未来も私と同じJ商業に進学が決まってるから、こんどこそ約束を果たせたことになるんだよね。

電話で話したときに未来が『J商業ば受けようと思っとる』と聞いて、同じ高校に行けるかも?と嬉しくなった。

中学が別々になったこと、私が約束を破った形になっていてずっと気になっていたし。

未来と一緒の高校に行きたかったっていうのも勿論だけど、J商業に決めたのにはもう一つの決め手があった。

『レベルで言えばN商が良いかもしれんけど、俺はN商よりもJ商の方が明日美には合っとると思う。就職率はN商が上やろうけど、J商にはN商には来ん求人も来たりするらしかし。明日美の場合は"M重工"狙いやろ?あそこはJ商からも就職する道のあるらしかぞ。お前の母ちゃんもこないだ言いよったばい。明日美も聞いたことあるとやろ?』

確かにうちのお母さんはJ商の卒業生で"M重工"に就職したらしいからなぁ。

お父さんとは職場恋愛で、寿退社したと聞いている。

そういえばやけにJ商を推していたのは、そういうことだったのか。

私はどうやったら友也と一緒の高校に行けるかって事ばかり気になってたから、お母さんの話をあまり聞いていなかったようだ。

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