いつか、きっと。
「でも涼介は『明日美に見られとった』って嘆いとったけどな。だけん私もいつ明日美から涼介とのことば聞かれるかってしばらくドキドキしとったとけど」

ああ、私とんでもない勘違いをしてたってこと?

私にキスしたのは涼介くんじゃなかったんだ…………。

と、いうことは……。

私はまた知らず知らずのうちに唇を触っていた。

初めてのキスと二回目のキスは同じ感触だったと今でもはっきり思い出せる。

誰とでも同じように感じるのかなんて、いくら経験が少ないからってどうしてそんなことを思ってしまったのだろう?

たった一人の人としかしたことがなくても、それは他の誰とも違う。

私にとってはたった一人の大事な人。

友也しか有り得ないのに。

「まさか京子と涼介くんがキスしてたなんて、全然見とらんかったよ私。だって私あの時は、目を閉じてたし」

「あ……そっか。キスの時って普通は閉じてるもんね」

正確にはキスのために閉じてたんじゃないけどね。

アレだって私にとっては事故みたいなものだったし。

そうか、それでか。

京子も勉強頑張って成績上げてたもんね。

一緒に頑張ってるつもりで心強く思っていたけど、京子もきっと涼介くんに勉強教えてもらっていたんだろう。

涼介くんも京子も五校を受験してるから、一緒の高校に合格できたらいいね。

「さ、私たちも真実のところに行こうか。私も涼介と写真撮りたかし。明日美だって友也くんと……やろ?」

「う、うん……」

駆け出した京子の後を追いかける。

私が友也のことを好きだってことは誰にも言ってなかったのに。

京子にはバレてしまってたんだ……。

じゃあもしかして、涼介くんにも?

友也には……どうなんだろう。

私の気持ち、友也は分かっているの?

京子にやっと追い付いたところで、真実の騒ぐ声が響いてきた。

「ちょっと、上尾くん!いつから京子と付き合いよったと?私てっきり上尾くんは有紀と付き合っとるとばっかり……」

「おいおい真実!そんがん大声で騒ぐなって!!」

町田くんが真実をなだめようとしてる。

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