いつか、きっと。
「ユキ?ああ、中田有紀ね。あいつはただの友達。まあ強いて言うなら"親友"ってとこかな。親同士が仲良かけん昔から知っとる」

"親友"って言葉にドキッとした。

「だって!修学旅行の夜にコソコソ会いよったたい!京子は私たちと一緒におったやろ。まさか浮気!?」

「真実、違うと。私知っとったけん。涼介は有紀ちゃんに頼まれたことのあったと。浮気とかじゃなかけん大丈夫」

京子の説明によると、涼介くんは有紀の好きな人との仲を取り持つために動いていたらしい。

いわゆる"キューピッド"の役割だったのだ。

「実は俺が京子と付き合うようになったとは、有紀のお陰でもあるし。俺は有紀に恩返ししただけ」

私たちの知らないところで、京子と涼介くんは付き合ってたんだね。

仲の良かった私や真実にも秘密にしてたなんて。

真実は町田くんと仲良くなって、同じ高校"M商業"を受験してる。

きっとあの二人だったら大丈夫だろうな。

公立の合格発表は明日。

きっとみんな発表された自分の番号を見るまではドキドキなんだろうね。

私と友也は私立だしもう合格も決まってるから安心していられるけど。

本音を言えば公立の発表をドキドキしながら待っているみんながちょっとだけ羨ましい。

私も友也と一緒の公立高校を受験して、緊張を友也と分かち合ってみたかったな。

そして一緒に合格して喜び合いたかった。

同じ高校に通いたかったな……。

「ねえ、先生たちとも写真撮りたかね。先生のとこに行ってこようか!」

真実の提案に賛成し、みんなで向かおうとすると

「もう俺たち先生とも写真撮ったけん、ここで待っとく。真実たちだけで行って来いよ」

男子はもう満足した様子だ。

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