いつか、きっと。
「……あーあ、卒業しちゃったね」

「うん。楽しかったなー中学校」

やっと友也と二人きりになることができた。

京子とは反対方向だから学校で別れ、真実たちとはさっき途中で別れた。

どうしよう、家に帰りつく前にちゃんと話せるかな。

私の気持ち、ちゃんと言えるかな。

そして友也の気持ち、聞けるかな。

ドキドキしていつもより口数が少ないけど、友也気付いてる?

「友也は特待生なんてすごかよね!これからもっとテニス頑張らんばたい。春休みから行くと?」

「うん。明日から部活に行くごとなった。練習にも入れてもらえるかも知れんし」

そっか、春休みだからって遊んでいられないんだ。

明日からなんて、もう住む世界が違うんだって思えて寂しさが募ってきた。

「ねえ、学校違うけど試合の応援とか行ってもよかかな?」

「多分よかっじゃなかかな。明日美が応援に来てくれたら俺も嬉しかけど」

本当に?

「じゃあ、応援に行くね。だって私たち親友やもんね!」

はっ!しまった!!

ついいつもの癖で"親友"なんて言ってしまった。

今日はその言葉は私の中でNGワードだったのに……。

「…………良かった」

…………え?

「卒業して学校も離れたら、もう明日美とは接点のなくなってしまうとかなって思いよった。離れ離れになってしもうたら"親友"でおられんとかなって。このままサヨナラみたいになってしまうとかもしれんなって……」

「嘘やろ、なんば言いよっと友也。サヨナラとか、そがんこと言わんでよ。だいたい家も隣同士やし、接点のなくなるとか有り得んやろ?」

まさか友也がそんな心配をしていただなんて。

卒業したらサヨナラだなんて、そんなの嫌だよ……。

ポツ……ポツ……。

頭上から落ちてくるのは、予想外の雨粒。

「え、嘘!なんで?雨の降ってきたばい」

ポツポツポツポツ。

だんだん雨足が強くなってきている。

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