いつか、きっと。
「マジか!?まさか降ってくっとは思わんかったな!明日美、ひどうならんうちに行くぞ」

えっっ!?

心臓がドキドキして鼓動が激しい。

ドキドキドキドキドキドキ。

どんどん加速していくこの胸の高鳴りには、ちゃんと理由がある。

私が持っていたバッグをさっと奪うと、空いた手を掴み走り出した友也のせいだ。

ここからなら家まで近いし、このペースならそんなに濡れずにすむかな。

風邪引かないように、早く帰らなきゃ。

でもこうして手を繋いでいられるのなら、濡れたって風邪引いたって構わない。

この雨は私にとって幸運の雨だって思いたい。

素敵なサプライズをありがとう……。

ああ、まだ家に帰りたくないな。

フワフワと浮わついた心を現実に引き戻すかのように、私の体がグラッと傾いた。

急な方向転換についていけず、よろけてしまったらしい。

「え、ちょっと友也?そっちは……」

「寄り道したかって言うたろ。濡れるけん早よう行くぞ!」

有無を言わさぬ雰囲気に何も言い返せず、黙って手を引かれるままついて行くしかなかった。

やってきたのは、公園。

ブランコや滑り台の前を通りすぎ、ジャングルジムの隣にひっそりとある休憩スペースの屋根の下に走り込んだ。

この場所で友也と出逢い、友達になったんだよね。

まだ四年しか経っていないけどすごく懐かしく感じる。

懐かしいと言っても、あの頃はこんな屋根なんかなかったけど。

「友也、どうしてここに来たと?」

私たちの出逢いの場所。

ここに来て友也は私に何を言おうとしているの?

もしかして、私と同じなの?

友也は何か言いたげな表情を浮かべてはいるものの、まだ口を開かない。

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