いつか、きっと。
本部のところに貼りだされているトーナメント表を見に行く。

すぐ近くに南海の陣営があって緊張したけど、その場に友也はいなかった。

もしかして試合の前にウォーミングアップでもしてるのかも知れない。

えっと、南海の御子柴、御子柴……。

あ、八コートで今始まったばかりの試合の次みたい。

間に合ったみたいで良かった。

それに八コートは端っこで見やすいし、私にとっては好都合だ。

次の試合ってことは友也はもうコート脇のベンチでスタンバってるのかな。

ちょっと近くまで行ってみよう。

あ、やっぱりベンチに腰掛けてるのが見えた。

本部と反対側の八コートのベンチでペアの人と真剣に話している。

きっと戦略やお互いの動きについて確認しているんだろう。

今だったら声かけることもできそうだけど、試合前で集中してるだろうから邪魔しちゃ悪いよね。

試合が終わって様子を見てからにしようかな。

そもそも私が声かけていいものなんだろうか?

だって周りに同級生や先輩がいるんだろうし。




試合は……負けちゃった。

七セットマッチだから四セット先取で勝負が決まる。

友也たちのペアは緊張からかミスが多く、調子が悪そうだった。

先に三セット取られてしまい、このままではストレート負け……。

そう思って必死に応援したお陰かどうか分からないけど、その後三セット取返して試合はファイナルセットまでもつれ込んだ。

勢いに乗ってたからそのまま逆転するかと思ったけど、結局負けてしまったのだった。

友也、結構ミスが多かったからきっと悔しいだろうな。

声をかけるのは、止めておいた方がいいかも。

このまま黙って帰ろうかな。

あとでメールして……。

「明日美!!」

バス停の方に向おうと歩き出したその時、背後から私の名を呼ぶ声がした。

聴き間違うはずもない、友也の声に歩みを止め振り向いた。

「あ、友也。試合お疲れさま!負けてしまって、残念やったね」

「せっかく見にきてくれたとにごめん。カッコ悪かとこ見せて……」

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