いつか、きっと。
「そがんことなかよ。調子の悪かときもあるやろうし」

勝って欲しいと思って応援してたから、正直言って負けたことが残念でならないけど。

きっと友也も悔しくて堪らないんだろうから、私が試合のことに触れるのはやめておこう。

「なあ明日美、次の試合こそは勝って見せるけん。また見に来てくれん?」

「えっ、また見に来てよかと?」

「当たり前やろ!絶対勝つって約束すっけん、明日美も絶対見に来るって約束ぞ」

そう言って私に目の前に小指を立てた手を出した友也。

これって"指切りげんまん"って事だよね。

高校生にもなって、指切りげんまんだなんて。

可愛いとこあるなぁ、友也ったら。

「分かった。それじゃ……」

友也が差し出した小指に私の小指をそっと絡ませた。

それで、どうしたらいいの?

まさかここで『ゆーびきーりげんまん♪』なんて歌うわけじゃないでしょうけど。

「おーい、御子柴!」

向こうから友也を呼ぶ声が聞こえて、絡ませていた小指をどちらからともなく外して指切り完了。

さっき友也を呼んでいた先輩らしき人がやって来た。

「御子柴、キャプテンが呼びよるけん……って、えっと、もしかして彼女?」

うわっ!

わざわざ応援に来るなんて、彼女っぽいよね。

でも彼女じゃないし……。

でも私が否定していいのかな?

「先輩、コイツは俺の友達なんです。今日は暇やけん見に来るとか言って……。な?」

何が『な?』よ。

まあでも友也の立場もあるから、ここは余計なこと言わず合わせておいた方がいいのかな。

「初めまして、生田です。御子柴くんとは中学の同級生で、暇だから見に来ました!」

「へぇ~御子柴の彼女じゃなかとやったら、俺と付き合わん?生田さんって可愛かし俺のドストライクけど」

…………は!?

ど、ドストライク??

「ちょっと先輩!俺の友達にちょっかい出さんでください!!じゃ俺呼ばれとるけん、またな……生田」

「ふーん……。それじゃまたね、生田さん」

二人とも南海陣営の方へ行ってしまった。

はぁ、なんだか……疲れたしもう帰ろう。



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