いつか、きっと。
それからしばらくはお互いの学校の話や、雑談に花を咲かせた。

女子校と男子校では違うことも色々あって、話は尽きなかった。

友也とは家が隣だから帰る場所も同じ。

一緒にバス停まで歩き、同じバスに乗って帰る。

こんなに長い時間一緒に過ごせるなんて夢みたいだ。

「ごめんね、結局おごってもらって」

デートってこんな感じなのかな?

彼女みたいに扱ってもらえた気がして、自惚れそうになる心にブレーキをかける。

「俺が誘ったけん。最初からそのつもりやったし」

ほら!

そんな友也の発言が私を勘違いさせるんだってば!!

「ありがとう。でも次は私におごらせてね」

『次は』なんてちゃっかり約束を取りつけようとしてるし。

でもさっき『来月も』って言ったよね?

メールくれるって言ったでしょ?

「そんなら何ばおごってもらうか、考えとかんば!」

バスでは一人掛けの座席に私を座らせ、すぐそばに立っていた友也。

エンジン音や社内アナウンスで会話がしにくいのか、時々身を少し屈めるようにして顔を近づけられた。

その度に私の心臓は心拍数を上げるから、ドキドキが伝わらないかとハラハラしてしまった。

膝の上に乗せた友也の学生鞄はズッシリと重たくて、家でも学校でも勉強頑張っているんだろうなって想像できた。

毎日朝早く学校に行って、帰りも部活してたら遅いだろうし。

今日みたいな日くらいは早く家に帰ってゆっくり体を休めた方が良かったんじゃないかな?

今更ながらに自分の事しか考えていなかったと気付いた。

「友也、あそこの席空いとるよ。あっちに移ろうか」

斜め後ろの二人掛けの席を指差して教えると直ぐに反応した友也が、私の膝に乗せていた友也の鞄と足元の私の鞄をサッと両手に持って座席に移動した。

私も後を追うように席を移る。

友也は自分が先に座るんじゃなく、私を窓際に座らせてからやっと隣に腰掛けた。

肌が触れそうな近い距離にまたドキドキが止まらない。

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