いつか、きっと。
「友也、毎日朝早かし部活もあるし疲れとらん?眠かったら降りるまで寝てよかよ」

「今日は途中で帰ってきたし眠とうなかばい。せっかく明日美と一緒に帰りよっとに寝たらつまらんやろ。そういえば良彦から聞いたとけど……」

中学の友達の話で盛り上がって、バスでの時間もあっという間に過ぎ去っていった。

一緒のバス停で降りて、アパートまで歩く。

ああ、もう着いちゃうな。

もうお別れだと思うと寂しいけど、また会えるんだから……。

ベランダでも会えるかもしれないし、メールや電話だってできるんだし。

「明日美、次の試合は多分夏休み前にあると思うけん、日にちの決まったらメールすっけんな。雨の降らんならよかけど」

そっか、夏休み前と言えば梅雨がまだ明けていないかも。

もうすぐ梅雨入り、雨の季節がやって来るんだね。

「じゃ、来月末に会うとき打ち合わせできるね。未来にも試合の事話しておくけん。私からもまたメールするよ」

来月のデートを楽しみに、1ヶ月頑張れそうな気がした。




学校で未来に友也からも一緒に試合を見に来てって誘われたことを話すと、未来も嬉しそうだった。

「私テニスの試合とか今まで見た事なかけど、ルールとか分からんでも応援できると?」

「そがん難しく考えんでよかよ。私が少しなら教えられるし、見とけば大体分かると思う。南海が勝つごと応援しよう!」

休み時間や部活の時でも、なにかとテニスの応援の話題になっていた。

この前は私一人だったからやっぱり寂しかったんだなと改めて思う。

友也がすぐ負けちゃったから早々に帰ったし、物足りなさを否定できなかった。

未来と一緒ならきっともっと楽しめるだろうって期待も高まる。

「ねえ、ちょっといい?生田さんに、青柳さんも」

部長の野口先輩からお喋りしてたことを注意されるのかと思って、急に黙った私たち。

ちょっと浮かれすぎてたかな……反省。

「二人とも、彼氏とか……いるの?」

え?彼氏??

予想外の質問に、怒られるとばかり思ってた私と未来はキョトンとして思わず顔を見合わせていた。

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