いつか、きっと。
「友也たち試合はまだけど、この辺におらんってことは誰かの応援でもしよるとかも。南海の試合のありよるか見に行ってみようか」

「なんかドキドキしてきたー!ね、最初はちょっと離れたところから見たか。で、友也くん…いや、御子柴くんがどの人か教えて?」

「分かった。じゃあ探しに行ってみよう」

今日もこの前と同じように五コートから八コートまでが男子の試合らしい。

それにしても学校名を知るためにはゼッケンだけが頼りだ。

テニスの試合で制服を着ている人っていないし。

みんなユニフォームとかジャージだけど、それだけではどれがどの学校なのか見分けがつかない。

南海のユニフォームも一度しか見ていないからよく覚えていない。

似たようなデザインもあるから余計に分かりづらいし。

五コートは試合が終わったばかりらしく、次の試合の準備をしているけどそこには南海の姿は見えない。

六コート七コート八コートを見て回ったけど、友也を見つけることはできなかった。

本部や南海陣営の反対側にも回ってウロウロしてみたけど、どこにいるのか分からなかった。

「この前はここで友也の試合ば見たと。今日も友也たち八コートで見やすかけん良かったね」

そう、八コートは一番端だから横からも見れるようになっている。

その代わり相手チームの応援の人がすぐ横にいたりもするから、応援の仕方には気をつけないといけないけど。

「……ねえ明日美。さっきからこっちば見とる人のおるけど」

「え?」

未来に言われて後ろを振り返ってみると、確かにこっちを見ていた人と目が合ってニッコリ微笑みながら近づいてきた。

「やあ、生田さんだったっけ?また応援に来てくれたんだ」

やっぱり、田代先輩だ。

髪を切ったみたいでちょっと印象が変わってたから気づくのが遅れてしまった。

「こんにちは田代先輩。御子柴くんはどこにいますか?」

「ああ、御子柴ならもうじき来るよ。……ほら」

向こうから誰かと話しながら歩いてくる友也の姿が見えた。


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