いつか、きっと。
田代先輩が駆け寄って声をかけると、友也は私たちの方を見て笑顔で走ってきた。

「おう、生田。来てくれてサンキュー!あ、もしかしてそちらが青柳さん?」

「初めまして、青柳です」

未来、ちょっと緊張してるのかな。

表情がちょっと硬いような気がするけど大丈夫かなぁ。

「青柳さんか、俺は田代哲。哲学の哲で『あきら』って読むんだ。だからみんなから『てつ』って呼ばれてる。御子柴とはペア組んどるけん、よろしくね!」

「田代先輩、もう次の試合らしかですよ。生田と青柳さん、八コートやけんすぐ近くで見とってくれる?試合のあと時間あったらゆっくり話そうで。じゃ、行ってくるけん!」

さっき試合が終わって次の試合の準備に入っている八コート。

次の試合ってことは今からベンチでスタンバイってことだろう。

「分かった、横から見とくね。御子柴くん頑張ってね!!」

「田代先輩、頑張ってください!!」

先輩と友也は自信ありげな笑顔でコートに向って行った。

友也と田代先輩の試合の相手は、N商業高校。

友也たちはシードのため今回が初戦だけど相手は一回勝ち上がっている。

一回戦を見ていないから実力は分からないけど、きっと勝ってくれるはず!

二人ともリラックスした感じだったし、大丈夫だろう。

しっかり応援しなきゃ。

そういえば今八コートで試合しているどちらか勝った方が友也たちの次の相手になるんだよね。

だから友也たちも真剣な眼差しで試合を見ているんだ。

きっと次の試合に備えて対策を練っているんだろうな。

普段は穏やかな印象の友也もテニスになると目付きが変わってすごいオーラを感じる。

今でさえそうなんだから試合が始まるともっと強気な友也が見られるだろう。

「ねえ明日美、ちょっと聞いてもよかかな。明日美は前にも田代先輩と会うたことあるとやろ。田代先輩って、彼女とかおらんとかな……?」

未来から声をかけられて、友也に見とれてしまっていた私はハッと我にかえった。

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