いつか、きっと。
｢先輩に彼女!?えっと、こないだ会った時はおらんって言いよったような……。ああ違う、それは会った時じゃなかった。別の日に友也から聞いたとやった｣

いけないいけない。

先輩からの『ドストライク』発言を未来に言うわけにはいかない。

｢そっか、彼女いないんだ。試合が終わったらいろいろ話してみたいな……｣

未来、田代先輩のこと気になってるみたい。

田代先輩はどうなんだろう。

ちょっと軽そうな感じがするけど、悪い人ではなさそうだし。

｢あ、終わったみたい。いよいよ試合が始まるよ｣

友也、新人戦ではミスが多かったけど今日はどうかな？

田代先輩が前衛で友也が後衛。

友也のサーブから試合が始まるんだと思うと緊張が高まってきた。

すっごくドキドキしながら見守ってる私とは対照的に、落ち着いている様子の友也。

サーブを打つ前に集中してる……。

大きくひとつ深呼吸して、手にしていたボールを高々と真上に投げた。





**********



｢四位入賞おめでとう!!最後の試合は残念やったけど……｣

今日の友也は新人戦の時とは見違えるほどに調子が良かった。

初戦では最初のサーブからノッてていきなりのサービスエース。

相手チームは想定外だったのか勢いにのまれたようで、友也たちのストレート勝ちだった。

調子が良かったのは友也だけではなかった。

田代先輩のテニスしてるところは初めてみたけど、私が持っていたイメージとは全く違っていた。

もともとイケメンだからカッコいいのは間違いないんだけど、普段はどうしてもチャラい印象が付きまとう。

会うのは二回目だけど、第一印象がそうなんだから仕方ないよね。

だけど試合中の先輩は本当に真剣で次々にボレーやスマッシュを決めて見惚れるくらいに素敵だったのだ。

だからといって私が友也より田代先輩にときめくなんてことはないけど。

未来は試合を見る前から気になってたくらいだし、きっとときめいているだろうな。


< 59 / 317 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop