いつか、きっと。
「あと一歩で表彰台やったとにな!でも御子柴は今日は絶好調やったし、負けたとは俺のせいさ」

準決勝で負けたあと三位決定戦でも負けてしまった。

そのことを先輩は自分のせいだと言ってるんだろうけど……。

「違いますよ、先輩よりも俺の方がダメだったし」

「あっ、あの!私テニスの試合って初めて見たんですけど、テニスって面白いなって夢中になりました!田代先輩、すごく素敵でした……」

お、未来ったら……言うなぁ。

こんなこと言われて田代先輩はどうなのかな?

「えっ、マジで!?青柳さんだけだよそんなこと言ってくれるの」

先輩すごく嬉しそう。

この二人、もう既にいい感じかも?

「ねえ、生田さんは?この前は御子柴の試合しか見とらんやろ。俺のテニス見てどうやった?」

え、私?

ちょっと答えにくいな……。

友也の前で先輩をカッコいいとは言いたくないけど。

でもせっかく機嫌がいいのに、誉めないわけにもいかないような。

「田代先輩ってテニス強いんですね。素敵でした」


「……ありがとう。なんか無理やり言わせたみたいでごめんね」

え?ちゃんと『素敵でした』って言ったけど。

言い方が悪かったのかな。

友也の方を見ると、明らかに苦笑いしてた。

なんかちょっと変な空気になってしまったから、話題を変えよう。

「ねえ未来、テニスの試合見るの面白かったやろ?私もテニスやめてからすごく新鮮な気持ちで見れるごとなって楽しかった!」

「うん!!明日美が分かりやすく教えてくれたけんルールも少し分かったし。また見に来たかね」

「『みく』ちゃんも『あすみ』ちゃんも良かこと言うね!そんならまたいつでも見に来て!可愛か女の子が応援してくれたら俺達も嬉しかし。な、御子柴」

田代先輩、超ごきげんだ。

ホッとして飲み物がなくなってしまったことに気付いた私は、フリードリンクコーナーへ飲み物を取りに席を立つ。

アイスコーヒーにしようかアイスティーにしようか真剣に悩んでいると、隣にやって来た人から声をかけられた。

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