いつか、きっと。
たとえ偽者でも
夏休みも終わり、二学期が始まった。

友也は相変わらず毎朝始発のバスで登校し朝練に励み、放課後も部活で遅くまでテニスを頑張っているようだ。

最近ベランダでは会えていない。

あんまりしょっちゅうだと親から不審がられないかと気になるから今は控えている。

その代わりたまに理由を作っては夜に近所のコンビニに出掛けるようになった。

そろそろ友也が帰ってくるころかな……なんて狙ってみるけど。

今のところまだ会えてはいない。

これがもし付き合っているんだったら、帰る時間を聞いて待ち合わせたりできるんだろうけど。

残念ながら私たちはそういう関係ではない。

メールは気軽にやり取りしているけど、本当に他愛ない内容で、してもしなくてもいいようなものばかり。

それが少し寂しく感じることもあるけど、敢えてそうしている部分もあるから私的には複雑なのだ。

自分が勘違いしないように、友也と私は親友であって恋人ではないのだと常に言い聞かせているのだから。

未来と田代先輩はどうなっているんだろう?

未来から何も言ってこないから気になって仕方がなくなった私は我慢できなくなってとうとう聞いてしまった。

「未来は田代先輩とはどがん?会ったりとかしよると?」

「テツ先輩はほら、部活のあるけんなかなか会えんね。メールならしよるよ!」

『テツ先輩』なんて呼んでいるところを見ると、かなり親しくなってるようだけど……。

「もしかして先輩ともう付き合いよると?告白された?」

「うんにゃまさか!今度先輩がバスの定期券ば買いに行くときに部活早退するけん、会えんかなとは言われたけど」

「そうね、良かったねデートたい!じゃ、その時に告られたりしてね?」

定期券と聞いてドキッとしたけど、私たちと同じ日に買いに行くとは限らないよね。

然り気無くリサーチしてもし同じ日だったら時間をずらしたりして会わないように気を付けないとね。

「そういう明日美は?実は友也くんと……」

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