いつか、きっと。
ピンポーン♪

「こんばんはー。すみませんねこんな時間にまた来ちゃって」

「いらっしゃい!私も急でびっくりしたとけど友也がね、ふふふふふ。あ、明日美ちゃん友也の部屋で待っとってね」

「おばさんごめんなさい。お邪魔します……」

お母さんとおばさんはもう話に夢中になってる。

友也の部屋、久しぶりだな。

ひょこっと中を覗いたけど部屋の中には居なかった。

確かに『待っとってね』とは言われたけど一体どこに?

中に入っていいものか迷っていると背後から足音が聞こえた。

何気なく振り向くと……。

「ぎゃぁ!!なっ、ななななな」

なんで上半身裸なの!!友也!!

「あーもう来た?先に風呂入ったけん。部活帰りで汗臭かったらマズかろうと思うて。おばちゃん来てくれて良かったな」

「う、うん。思いっきり笑われたけどね」

それより早くシャツ着てよ!

目のやり場に困るじゃないの……。

「なんしよっと明日美。早よう入れば?」

いつの間にかTシャツを着た友也が私を部屋に招き入れた。

部屋で二人きりなんて小学生以来でドキドキしちゃう。

「早速けど課題はこのテキストの問題ばノートに解いて提出せんばとさ」

変に意識してしまいそうだから、誤魔化すように課題に集中するフリをする。

「テキスト俺らと一緒たい。いまどこばしよると?」

友也の手が私の方に伸びてきただけで心臓がバクバクする。

その手は私に触れることなくテキストのページを捲っていく。

その手の動きにさえ見とれてしまうなんて。

「俺らがしよるとはこの辺かな」

友也が開いたページはテキストの後半で、私にとってはまだ未知の領域だった。

「えっ、もうそがんとこまで進んどると!?さすが天下の南海。うったちはね……」

友也が捲ったページを逆戻り。

全体からすると三分の一程度のところを指した。


< 68 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop